豊浦高校(山口/県立) 二浪 文Ⅱ
地元では名門校! 僕は17年ぶりの東大合格者
みなさん、はじめまして。僕はつい先ほど三・一〇事件(東大合格者発表)で、三度目の東大挑戦にしてようやく合格できました。思えば5年前に「私の東大合格作戦」に感動し、僕もそれに載りたいと考えた、そのささやかな夢が今、ようやく実現(「無名校から」ですが)して、他の多くの東大合格者とは一風変わった経歴を示し、また読者の方の東大合格への手助けになれば、と思い、ここに駄文をお見せすることになりました。
◆出身校と自己紹介 出身は山口県立豊浦高校。地元では伝統ある名門校で通り、「文武両道」を掲げていますが実際は「武」ばかり目立ち、「文」は全くうだつの上がらない学校で知る人ぞ知る「県立日体大附属高校」の異名をとる。
というわけで僕は同高校より17年ぶりの東大合格者となった。しかし、過去は名実共に名門だったそうで、報道に時々出る自民党の林義郎というおじさんは、ここから東大法学部に進んでいます。その他、ロス五輪金メダリストもいるし、役者の細川俊之(たかしではない)もウチの出身です。
しかし、現在は二流の九州大学へ2・3人が限度である。どうして、こんな学校から東大合格者が出たか。それは僕が学校の授業カリキュラムをぶっとばして独学に励み、学校に反抗したアウトローだったからである。
★高1の6月・運命的な出会い そもそも、ウチの高校ぐらいの所では皆、「東大は勉強しかできない変人の集まり」(これは無知なる一般大衆のひがみにすぎない)と思っていたし、僕もそうだった。
事の発端は一年の6月、日体大進学を目指して(ウソ)運動部で汗を流した帰りに本屋に立ちより、ふと目についた「私の東大合格作戦」を手にとってしまったことにある。そして、東大の限りない魅力にとりつかれ、自分も行きたい、ひょっとしたら自分も勉強すれば行けるんじゃないかと思ってしまったことが、僕の人生を大きく変えることとなった。
一冊の本がかくも人の人生を変え得るものなのかと僕は改めて感動しながらこの原稿を書いている。以上はエール出版におせじってるわけではなく、全くのノンフィクションである。
東大にめざめてしまった僕は本にある有名参考書を複数購入し、猛勉強に入った。周囲のクラスメートに軽くあしらわれたが、全く耳を貸すことはなかった。
ちょっと脱線するが、僕は中学時代は文武に全く低迷し、高校受験時には担任から豊浦高校の不合格も太鼓判を押されるほどであったのだ。
入学後も、学業劣等で、一学期中間テストは360人中323番。6月の進研模試も全国偏差値40台。というように、入学間もなく、早くも受験戦線引退を表明するような成績だった。
まあ、こんなヤツが突然「東大に行くぞ」とほざくのだから、皆が相手にしなかったのは当然ではあった。
しかし、僕は根拠のない自信(勉強すれば俺も東大に合格できる)にあふれていた。
7・8・9月と猛勉強に明け暮れ、10月の定期試験では学年3位に浮上した。ここでも、猛勉強したと書いたが、前述のように中学の学習内容さえ理解していなかったから、具体的にはここから始めた。
特に英語は中学の教科書から読み返した。中一はわかるが、中二になるとやや難解、中三はさっぱりだった。
なにしろ僕の英語は、高校受験直前、中3の冬にDoとDoesの違いを理解したというレベルであり、高一なのに「過去形」と「過去分詞」は呼び方が違うだけで同一のものと思っていて、従って受身、完了形など知る由もなかったのだ。
というわけで高校受験用の参考書からはじめたのだった。
勉強にはまり込んでクラブもやめて、当時のスケジュールは、朝学校に行く。授業中はすべて内職。3時半帰宅。4時から6時、7時から夜中2時まで勉強。日曜日は一日15時間以上。
信じられないかも知れないが、次々と新しい事がわかる楽しさがこれを支えていた。
その後も止まることなく、道なき道を独学で突き進み、12月になり、2学期の期末テストでは全科目で学年トップを獲得した。
以後、学校内でただ一人、異次元の独走態勢に入ることになったのである。
以上までを要約すると底辺の人間でも努力によって天下の東大に合格できるということである。
ここまで過去をあばいたのは「こんなマヌケなヤツでも勉強すれば東大に合格できるんだから、俺(私)なんか余裕じゃん」と自信をもつ方が多く出ることを期待してのことで、僕は読者の方のために捨て身になっているのであります。
でも、そんなに勉強できないという人、あなたは東大を愛していません。東大への限りない夢によってそれは可能になります。人間同士の恋愛でもそうですが、愛する人のために自分を犠牲にできるって素晴らしいと僕は思う。
それに、東大合格者の中には小中学校と何らかの犠牲を払って塾に通い、私立有名校に入り、そこそこに勉強して合格した人が多い(と思う)のですから、僕のように小中学校と全く野放しにされ、好き勝手な事をしていた人間が後で苦労する(僕の場合、2年間の浪人)のは当然だとも思う。
さて、ここからいよいよ合格作戦に入ります(ここまでは全くのコメディと考えてさしつかえない)。
基本戦略
来たる二・二五、二・二六決戦(東大入試をカッコよく表現したもの)に向けて、各人はそれぞれ勉強を積み重ね高度な実力を養成しなければなりません。その具体的内容は百人百色なわけですが、誰もが守るべき、受験戦争における鉄則を次に挙げます。
鉄則 基礎力を充実させ、行きづまったらわかる所まで立ち戻る
これはあまりにも当然なのだが、上ばかり見あげて、足もとを見ないでいると忘れてしまう。例えば、僕は高3の後半になると「あれをやって、これをやって、あれも見とかないと・・・」という調子でどれも消化不良(というよりはページをめくっていただけに等しい)になって、全く伸び悩みました。わからない上から、いくらやっても時間と労力のムダなのです。一つ一つ完全に理解していくことが最後から見れば一番の近道なわけです。
具体的戦術
ここでは僕の得意分野のみにしぼって(英作文、世界史、地理)高得点答案の書き方を伝えたいと思います。
●英作文の高得点答案の書き方
① 細かいニュアンスの違いにこだわらず、自分が同じ内容だと思うことを一気に書く。
② 絶対に、文法面で正しい英文を書く、言い換えると文法面(つづり、時制、呼応、動詞の用法など)で絶対に失点を許さない。
これを守れば英作文はドル箱となります。基本例文のストックを増やして、その単語をおきかえただけのような文は派手さはないですが確実な点になります。むしろカッコイイ表現を用いようとしないこと。少なくともそれによって加点されることはないですから。
世界史
まずなんといっても、教科書、「用語問題集」(山川)で基本知識を拡充していくことです。常に因果関係と事象の特徴を押さえていくことも忘れずに。
その後、「新世界史」(山川)と「世界史論述問題集」(Z会)を読み込んでいきます。
前者は抽象的な内容が含まれ、後者は不要な知識が多いと批判されますが、世界史を理解するためにはこの2冊を違和感なく納得しつつ読めるようにすることが必要で、そうなれば東大世界史も得点源になります。
さて、高得点答案の書き方です。世界史の場合は特に、類似した事象とその根本的な性格の違い(例えば、19C半ばと20C初めの民族運動の性格の違い)など、それぞれの事象の特徴を比較させる問題と事象の説明問題が多い。そこで答案はこの点を明示するようにすべきです。
●世界史の高得点答案の書き方
① 問いに関連する語句を挙げる。しかし、これが意外に困難で、いろいろな問題にあたって一つの事象を多くの観点からとらえておきましょう。ここではかなり抽象的な書き方をしてしまいましたが、経験をつめば身をもってわかるようになる(はずだ)。
② それらの語句を問いの要求に合うように並べかえる。基本形としては「AはBなのに対し、CはDである」「EはFなのでGとなった、そこでHとなった」の2つ。言葉遣いのまずさは無視しても明瞭な答案を目指そう。
地理
地理では「地理の完成」(山川)と「地理の総完成」(代ゼミ)が有名ですが、細かい内容が多すぎて全くの初心者はそれに振り回される心配がある。
そこで「地理ゼミノート」(数研出版)をベースにしたい。これを完全にマスターして(細かいと思う部分は捨てる)東大の過去問を研究して東大くさい分野がわかるようになったら、前述の2つを必要な部分だけやっていきます。
あと付け加えると、系統地理(工業・農業・地形など一般性のある内容)をやってから地誌(各地の環境とその下での人間の生活)へ進むのが理解しやすいでしょう。
もう一つ付け加えて、今年一月に亡くなられた河合塾の権田先生の「地理講義の実況中継」(語学春秋社)は是非読んで下さい。感動の涙を流すことでしょう。
ちょっと脱線するが、代ゼミの武井先生は人文地理に強く、河合塾の権田、佐藤先生は自然地理に強い(しかし、マイナーな部分をとりあげることがある)という一般的見解があることを付記しておく。さて高得点答案の書き方です。
地理では一般常識だけでなんとかなってしまう問題があると同時にマイナーな内容でさっぱりわからない問題も多く、これにより得点の上下も大きい。模試では既習分野で点がとれればよしと考えよう。
●地理の高得点答案の書き方
答案作成は世界史に準じるわけですが、地理は加点ポイントが浅く広い(河合塾の予想問題集の採点基準を十分研究しよう)ので取りこぼしがないようにしたい。
以上世界史、地理と(日本史を含めて社会、そして理科でも)時間をかけて多くの問題にあたるほど有利ですから、浪人の方はもちろん現役生もできるだけ多く問題にあたって下さい。
でまた、ここで再び脱線して世界史と地理をやることの意義について述べたい。多くの人が言うようにどちらも日本史に比べて点をとりやすいという打算的な面をもつ。
しかしそれだけではなく、例えば、イギリス産業革命の要因の一つに綿工業の発達がある。なぜ。英国西部は湿潤な気候で綿糸加工に適した。なぜ湿潤。海岸部で偏西風の風上斜面だから。偏西風はなぜ生じる。地表の受熱量の差から高圧帯と低圧帯が形成されるから。
ひまな時は、こんな事を考えるとよい。そうすれば、地球上のすべての歴史事象は、地球の自転軸が公転面に対して約23度5分傾いていて、その太陽からの距離がちょうど生物の生存に適していたという宇宙がつくりあげた全くの偶然に端を発していることに改めて驚嘆するでしょう。
こんな事を考えると楽しくて仕方ない。学ぶ楽しさを知る。これぞ東大合格への確かな足がかりである。だんだん壮大な話になってしまったが以上を要約すれば「世界史と地理は関連性が深く、やればやるほど楽しいぞ。」というだけのことである。
その他の科目の高得点の狙い方
ここまで僕の得意分野で応用編を述べましたが、他教科などについても箇条書きにまとめたい。
●社会では東大用模試の採点基準を研究して得点力の向上を図る。
●数学は「大学への・・・」シリーズ(研文書院)〔黒のハードカバーで東京出版の月刊誌とは異なる〕が典型的な問題解法パターンの宝庫。代ゼミの「山本の・・・」シリーズでお得なテクニックを習得しよう。あと、センター用、その他にメネラウス・チェバの定理は必修。
●「英文法講義の実況中継」(語学春秋社)『ネクサス』と聞いてわからない人は絶対に読む必要があります。
●和訳では内容を正確に理解できているなら意訳は自由だろう。ただし、あくまで「英文和訳演習」初・中・上級編(駿台)で和訳の基本を抑えるのが先決。今年の4番で a great draw は「客をひきよせるもの」とわかれば「客よせの超目玉」のように訳出できる。
●英文解釈は速読速解が基本で「奇跡の英文解釈」(祥伝社)は一読の価値あり。
★悩める受験生への相談コーナー
他の方は参考書をたくさん並べて「Aをやって、Bをやって、仕上げにC」とか書いているわけですが、そんな書き方をしても軽く読み流す人が多かろうというわけで、僕は一味違うものにしようと参考書も有名なものは挙げず、ややマイナーで優れたものを中心に挙げてきました。
有名なものは書いていないだけなのでその点注意。で、勉強面では他の方々の体験記を参考にしていただくとして、ここからは悩める人への相談コーナーとなります。
予備校選択で悩んでいるあなたへの解答
受験前から恐縮な話なのだが、まあ、三大予備校が基本でしょう。ただ、今年からどこも無料特待制度が廃止されて困ったものです。ここでは紙面節約のためポイントだけを挙げます。
・代ゼミのテキストは東大の傾向に全く沿っていないと思える。
・同じ三大でも都会校舎は講師は揃うが、大人数のため、個人添削等は困難と思える。
・同じく地方校舎では講師の質はかなり見劣りする(僕は代ゼミ小倉校)が、個人添削等を通じてアットホームな雰囲気がある。
・どこにせよ、一番大切なのは自分のペースで主体的に勉強すること。ただし、東大受験者が少人数でもいる三大がよい。
クラブ活動と勉強で悩んでいるあなたへの回答
運動部との両立に悩む人があれば、何も言わずに続けてほしい。好きでやっているならやめるときっと後悔するし(僕も後悔している) 今しかできないことだからだ。三年間やれば無駄にはならないと思う。僕の経験から言って運動部をやめてその分、勉強に回せるとは思えない。
あなたにいっておきたい三つの教訓
例年、この本では「楽して東大に合格しよう」を掲げる人がある。問題なのはそれをカッコいいと思ってしまう人があるということ(僕です)。
僕はこれにとりつかれ、先に述べた猛勉強からうってかわって「睡眠10時間、勉強2時間」というふざけたスローガンを掲げた結果、現役では手も足も出ないことになりました。
ですから、そういう頭のいい人もいると考えて軽く読み流して、マネしようとしてはいけない。勉強しすぎて死んだ人は多分いないし、損するわけでもないから、たくさん勉強するのに越したことはないわけです。
話変わって、僕は2浪しましたが三度の受験はすべて文Ⅱ一本でした。これは「くたばれ二流、東大以外は死んじまえ!!」という過激な信仰があってこそなせる業です。超無名校からの東大合格は、これぐらいの意志がなければなし得ないと思う。
さらにもう一つ、僕が一浪時、予備校に来て感動したのは身近にこんなスゴイ人がいるんだ、ということ。勉強ではり合える友人は絶対に必要だと思った。この点、有名校は恵まれている。
以上から次を3つの教訓に掲げます。
一、「楽して東大に受かろう」主義は危険だ
二、「絶対、東大に合格するぞ」と思え
三、ライバルをもとう
センター試験結果
英200 数A100 B100 国174 世100 生物97 合計771/800
あまりの難問に世間が大騒ぎする中で豪快な満点ラッシュでした。センター対策ははっきり言って何もしていなくて、試験前の合間に世界史と生物の教科書を眺めただけです。でもこれは、それ以前の蓄積によるので真似しないで下さい(する人はいないだろうけど、念のため)。これでもデータリサーチでは全国300番くらいでした。世の中にはスゴイ人がいくらでもいるんです。
僕は結果として2浪しましたが、僕にとっては、良かったと思っています。
高校時代は男子校で女のコと口をきくこともめったになかったですが、予備校で初恋もしたし(これが2浪の原因という説もある)他の高校の人とも知り合えたという友人関係の広がりです。
以上、かなり長くなってしまいましたが、まだ書きつくせません。で、僕がみなさんに与えたい事の本質は「謙虚になれ」ということで、自分の実力を客観的に冷静に厳しく評価できるようになれということです。
予備校時代に感じたことですが、試験後に「だいたいデキた」「大丈夫なハズ」という強気な発言をしてる人ほどたいした成績じゃない印象がありました。
逆に「アレは失敗した」「もうちょっとデキないと」という人がスゴイ成績をとってるのも目にしました。これは自分に高いハードルを課しているかどうかの違いなんだと思います。
僕は周りからは楽勝だと言われていましたが、二次では得意の数学が崩壊し、発表前は落ちる夢ばかり見て全くふさぎ込んでいました。で、合格を確かめた瞬間に僕が感じた月並な言葉を2つ並べて締めくくります。ここまで読んでくれてありがとう。
「努力は必ず報われる」
「決意は不可能を可能にする」
<併願校>
なし
<自己PR>
◆趣味:格闘技・スポーツ全般ついでに料理・裁縫
◆夢:誰も信じてないが、ジャッキー・チェンみたいなアクションスターになること。
◆性格:基本的に真面目、しかし、すぐにウケをねらってしまう。
・模試が悪くても3秒後には立ち直る。
・楽観的でありながら、現実を見据える態度が精神衛生上、良かったと思う。

